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月980円で「読み放題」という言葉の魔力
Kindle Unlimitedに入ったのは「読書習慣をつけたい」という漠然とした動機からだった。月980円で200万冊以上読み放題という謳い文句は、本を読まない自分にとってもなんとなく理にかなって聞こえた。1冊1,500〜2,000円の本が読み放題なら、月1冊読むだけで元が取れる計算になる。
契約してから1年が経った。読書量は確かに増えた。でも同時に、積読も増えた。これは当初まったく想定していなかった副作用だった。
最初の3ヶ月——勢いよく読んでいた時期
Unlimited契約直後は面白いほど読んだ。とにかく読み放題の事実が嬉しくて、気になる本を片っ端からダウンロードしていた。
最初の1ヶ月で読んだのが11冊。ビジネス書6冊、自己啓発2冊、エッセイ2冊、小説1冊という内訳だった。過去の年間読書量を超えた月だった。月980円で11冊なら1冊89円。明らかに元が取れていた。
2ヶ月目も8冊、3ヶ月目も9冊と好調だった。Unlimited対象の本は読み始めて合わなければすぐ閉じてよかったので、「買ったのに読まないとダメ」という罪悪感がなかった。この気持ちの軽さが読書ペースを上げる一番の要因だったと思う。
4ヶ月目から変化が起きた
4ヶ月目の読了数が4冊に落ちた。5ヶ月目は3冊。理由は「積んだ本が増えすぎた」ことだった。
Kindle Unlimitedの積読は、物理的な本の積読と性質が少し違う。部屋に本が積まれていれば視覚的なプレッシャーになるが、Kindleの積読はアプリの中に静かに存在していて、普段は意識に入ってこない。「いつか読む」というフラグだけがどんどん増えていく。
ライブラリを確認したら、4ヶ月目時点で未読のままになっているダウンロード済みの本が38冊あった。最初の1ヶ月でダウンロードしたまま読んでいないものが大半だった。「無料(正確には月額分)だから試しにダウンロード」というハードルの低さが、積読を加速させていた。
1年間の読了数と積読数
1年間で読了した本は72冊だった。月平均6冊。月980円を72冊で割ると1冊あたり163円になる計算で、数字だけ見れば十分に元が取れている。
ただし積読として残った未読本は最終的に54冊になっていた。54冊ダウンロードして読まなかった。削除すれば済む話だが、「いつか読むかもしれない」という感覚で残し続けてしまった。これはUnlimitedを使っていなければ存在しなかったストレスだと思う。
読んだ72冊のジャンル内訳はビジネス書が最も多く32冊、次いで自己啓発が18冊、エッセイ・ノンフィクション10冊、小説6冊、その他6冊だった。ビジネス書と自己啓発が7割近くを占めるのは、Unlimited対象書籍の傾向と自分の興味が重なった結果だった。
Unlimited対象外の問題
Unlimited契約中に地味に悩まされたのが対象外の問題だ。
話題の新書やベストセラーはほとんどUnlimited対象外だ。「読みたい本がUnlimitedで読めない」という状況が月に3〜4回は発生した。そのたびに別途購入するか、読まずに諦めるかを選ぶ羽目になった。
特に新刊が弱い。発売されてすぐの本がUnlimited対象になることはまれで、数年後に追加されることが多い。「今話題だから読みたい」というタイミングに応えてもらえないことがある。
逆にUnlimitedが充実しているのは、著名な著者の旧作やビジネス系の定番本、専門書の一部、コミック(ただし主に巻1〜3など序盤のみで最後まで読めないものが多い)、個人出版の本などだ。流行りの本より、少し前のものや確立したジャンルの本を読みたいなら選択肢が広い。
退会して気づいたこと
1年が経ったタイミングで一度退会してみた。理由は「ちゃんと使えているか確認したくなった」という感覚だった。使い続けているものが本当に必要かどうかは、なくなってから初めてわかることがあると思っていた。
退会処理は簡単だった。Amazonのアカウントページから手続きできて、5分もかからなかった。退会してもダウンロード済みのものは月内は読めるが、それ以降はアクセスできなくなった。
退会してから最初の1週間は、新しい本を開くときに「これUnlimitedで読めるか」を確認する習慣が抜けなくて、都度確認してから「あ、もう退会したんだった」と気づく繰り返しだった。それだけUnlimited前提の読書習慣になっていた。
退会後1ヶ月の読了数は3冊だった。Unlimited期間の月平均6冊の半分になった。ただ読んだ3冊は、いずれも自分でしっかり選んで購入したものだった。Unlimitedのときのように「無料だから試しに」ではなく、「これを読みたい」という明確な動機があった。
読んだ後の満足度や記憶への定着は、退会後に選んだ本の方が高い気がした。コンテンツが多すぎると「消費する」感覚になって、読んだ内容を吸収しにくくなる。Unlimited中の読書の一部はそういう状態になっていたかもしれない。
再契約するかどうか
退会2ヶ月後に再契約した。「やっぱりあった方が読書量が増えた事実は変わらない」というのが理由だった。ただ使い方を変えた。
変えたのは「ダウンロードは読む直前だけにする」というルールだ。気になる本があってもライブラリに追加するだけで、ダウンロードは読み始めるときにする。アプリの中に積読が山積みになる状況を防ぐための小さな工夫だが、これだけで積読の増加ペースがかなり落ちた。
Unlimited向きの使い方としては、「興味のある分野を広く読む」「著者を知ってから代表作を購入するかどうか判断する」「最初の章だけ読んで合わなければすぐ切る」というスタイルが合っていると思う。Unlimitedを「本屋の立ち読み機能の拡張版」として使うと、無駄な積読を抑えながら活用しやすい。
月980円という価格は、月2冊読めば元が取れる設定になっている。読書習慣がゼロの人がゼロから読み始めるときの補助として使うか、幅広い分野を浅く広く読みたい人が使うかが、最もメリットを得やすい使い方だと1年使って思う。
